2022/3/11 静岡地裁 第9回旧優生保護法裁判

14:30裁判
 3月11日(金)、第9回旧優生保護法裁判が行われた。2月22日、大阪高裁判決は地裁での判決を翻し、原告側勝訴を言い渡した。静岡地裁の裁判は、その直後の期日であり、前回よりも多くの傍聴希望者や報道各社が駆け付けた。残念ながら、コロナ禍では定員の半分の27人しか傍聴ができず、いつもながら、隣接する弁護士会館で待機となった。この日は東京高裁判決の日でもあった。抽選を待つ間に、大阪に続き逆転勝訴したことが分かり、そこにいただれもが興奮気味で、「勝った!」「勝ったんだよ!」と喜び合った。しかし、傍聴券を求めて整列の最中は、詳細を知ることなく傍聴にのぞんだ。
 裁判では、弁護団の靏岡寿治弁護士から「準備書面は、大阪高裁判決を踏まえたものであり、原告の主張を追加するものである。憲法13、14条に反し違憲であるとされた。旧優生保護法は国会議員の責任によるもの。障害者にとって、相談機関へのアクセスが著しく困難な状況にあったことについて大阪判決は効果があった」ことが述べられた。裁判長から「被告は16準備書面については?」と聞かれ、被告国側は「国として反論する」と答えた。裁判長は次回の裁判について、閉廷後に弁護側、裁判所、被告国側で進行協議を行なうとした。 

15:15報告会
 報告会ではNHKの取材があり、夕方のニュースで放送された。靏岡弁護士が準備書面16について「2月22日の大阪高裁では憲法13、14条で違憲とした。国会が何もしてこなかった立法不作為、そもそも法律を作ったこと自体が違法である。除斥期間では平成8年から20年経てば請求権を失うとされていた。弁護団はそもそも除斥期間の適用は不要としてきた。大阪高裁の主張は、裁判を起こせると知ってから6カ月の間に訴訟を起こすことが必要であるとした。その条件には静岡も合致する。宮川辰子さん(仮名)は、自身の手術が旧優生保護法によるものと知らなかった。平成30年、全日ろうあ連盟が調査を開始。それに伴い静岡県聴覚障害者協会も調査を行なった。旧優生保護法は、障害ある人を不良とした。それゆえ障害者は相談にたどり着けなかった。本日の東京高裁判決は、大阪とは違う。当時の厚生大臣らが積極的に強制不妊手術を勧めていたことを違法とした。一時金支給法が出来てから5年間は訴えることができる期間とし、広範囲の救済を認めた。大阪と東京で判決理由が異なるため、最高裁で決着となるか。次回は東京裁判を受けて書面を提出する。」と解説した。
大橋昭夫弁護団長は「(大阪と同じように)国は上告するかもしれないが、最高裁も大阪と東京の2大高等裁判所を無視することはできないだろう。各地裁は憲法違反だ、人権侵害というリップサービスはするものの、20年経ったら被害回復は行わないとした。大阪、東京高裁判決は、最高裁でも支持されるだろう。皆さん、頑張りましょう!」と結んだ。
宇佐美達也弁護士は、パワーポイントを使用しながら、大阪判決のポイントについて解説を加えた。「裁判所は一時金に対するメッセージ。法の下ではどんな人も平等である。戦争が終わった直後は、障害者への差別や偏見は厳しかった。大阪の除斥期間の適用制限すべき理由については、人権侵害が強度であったことや旧優生保護法により、障害者や病人への差別や偏見を正当化し、更に助長して、原告は相談機関へのアクセスは困難であった。さらに、同法により、手術を受けたが裁判を起こすことがより困難となった。よって、判決では“除斥期間の適用は著しく正義、公平の理念に反するとすべき”とした。しかし、大阪判決では、被害を知ってから6か月間を経過すると救済の対象には当てはまらない。そのような被害者には何ら言及していない。浜松の武藤さんや東京の北さんは大阪判決では救えない。一時金支給法の改正など、一律全員救済に向けて、私たちが強く意識を持つことが必要。」と述べた。
柳川侑馬弁護士は、報告会の最中に東京高裁判決について最新情報を調べ「東京判決は、優生手術は極めて非人道的であり、憲法違反。国は国賠法に基づいて損害賠償責任を負うとし、一時金支給法から5年を除斥期間の適用を猶予する判決が示された。2020年6月、東京地裁は、北さんに対し、20年の除斥期間を適用し敗訴とした。しかも、原審は地裁が優生条項が違憲かどうかも判断していなかった。高裁では、地裁判決を破棄し、原告の北さんが補償を提訴した3,000万円に対し、国に1,500万円の支払いを命じた。」などの解説を行なった。