2021/3/12 静岡地裁 第6回旧優生保護法裁判

14:30裁判
  3月12日(金)14時30分から、静岡地裁で旧優生保護法の被害を訴える宮川辰子さんの口頭弁論(法廷での裁判)が行われた。今回は昨年12月25日の第5回裁判同様、傍聴席の定数である50席が25席に絞られたことから、抽選に漏れた人たちは裁判所のロビーで待機した。25席の他には報道関係者が6名ほど着席していた。また傍聴者には弁護団から準備書面の写しが配られた。 裁判では原告弁護団の4名が準備書面を読み上げた。傍聴席には手話通訳及び要約筆記が配置されたが、裁判長の口述が早かったために、途中で弁護団から裁判長に「もう少しゆっくり話す」ようお願いする場面があった。

15:00報告会
 弁護団の青柳恵仁弁護士は、今回、提出した準備書面8について、「キーワードは『日母(にちぼ)』と『推認(すいにん)』。『日母』とは『日本母性保護医協会』のことで、目的は優生保護法への適正なる運営と啓蒙であり、“優生保護法”を推し進めることであった。『推認』とは、その事実を直接示す証拠、例えばカメラに写っていなくても複数の証拠が組み合わされば、事実が導けることをいう。宮川さんが手術を受けた地域の産婦人科医は皆『日母』のメンバーであったことから、宮川さんが旧優生保護法による手術を受けていたと強く『推認』される」と解説した。 続いて、冨増泰斗弁護士から次のような説明があった。「準備書面9は札幌地裁の裁判を参考にした。憲法では13、14条で、子を産み育てる権利を有するとしている。旧優生保護法の各規定が差別的。法律は個人の尊厳に立脚すべきであり、同法4条ないし14条2項は憲法に違反している」ことを述べた。 次に北上紘生弁護士から準備書面10について以下の説明があった。「除斥期間は民法724条に定められている。不法行為から20年を過ぎると『古い話は持ち出すな』と、請求しても負けてしまう。今年の3月に固定資産税の最高裁判決で、除斥期間がいつからスタートしたのか、機械的に扱わないとされた。水俣病の訴訟で、魚を食べてすぐではなく年を取ってから発病するかもしれないものについて、最高裁判決は除斥期間を認めないとされた。旧優生保護法裁判は、2017年9月、日本弁護士連合会(日弁連)が同法について指摘した時点が起算点である。東京地裁は、起算点を平成8年まで引き延ばすことを認めている。自民党は昭和58年にこの問題を話し合っていたのに、平成30年になってやっと救済法が成立した。国は旧優生保護法を隠し続け、平成7年の北京の女性会議で批判を浴び、翌年あっさりと削除。ハンセン病は施設隔離であったために、互いの被害を共有、告白できたが、強制不妊手術を受けた障害者は、被害を外に向けて訴えることはできなかった。したがって、平成8年を除斥期間とすることは間違っている」と示した。 最後に、柳川侑馬弁護士が、準備書面11について以下のように解説した。「旧優生保護法大阪地裁判決、昭和27年の対象疾患拡大を含めて違法とした点は他の裁判より進んだと言える。しかし、判決は『旧優生保護法は障害者を不良とした』と決めたところで留まった。憲法違反と言っておきながら、それによって障害者がどんな不利益を受けたかを言ってはいない。そこから先の議論の発展はない。大阪地裁の間違いは①国会が立法不作為が違憲ではない。②真実究明の義務違反について厚生省、総理大臣の謝罪を否定したところ。国会が非人道的な法律を作ったら、廃止・謝罪・被害の回復が必要である。大阪判決は、国会が気づいたらすぐに廃止すべきという点に触れていない。